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【共同研究成果】「ケストース」摂取がもたらす 腸内環境を介したインスリン抵抗性の改善効果に関する成果が 国際科学雑誌『Nutrients』に掲載されました!

腸内環境を適切にデザインすることで病気ゼロの実現を目指す株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長CEO 福田真嗣。以下、「当社」)は、物産フードサイエンス株式会社(本社:東京都千代田区大手町、代表取締役社長 横山昌己。以下、「物産フードサイエンス」)を含む研究グループと共同研究を行い、オリゴ糖の一種である「ケストース」摂取による腸内環境の改善がインスリン抵抗性(※1)の改善と関連することを見出し、その研究成果が国際科学雑誌「Nutrients」に2021年8月27日付で掲載されました。

(※1)インスリン抵抗性:インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態であり、2型糖尿病などの発症につながることが報告されています。

<研究の背景>
ケストースはタマネギやアスパラガス、ニンニク、大麦、ライ麦など、普段摂食する野菜や穀物に含まれる機能性を持つオリゴ糖の一種です。砂糖に似たまろやかな甘味を有しており、消化・吸収されることなく大腸まで届き、「ビフィズス菌」や「乳酸菌」、腸管内で酪酸を産生する「酪酸産生菌」などの栄養源となる効果(プレバイオティクス効果、※2)が報告されています。

これまでに、2型糖尿病を自然発症させたラットにケストースを摂取させることで、インスリン抵抗性が改善されることが報告されています(※3)。しかし、ヒトにおける科学的根拠は限られたものしかありませんでした。そこで当社と物産フードサイエンスを含む共同研究グループは、肥満傾向のあるヒト(※4)とラットを対象に、ケストースの摂取による腸内環境の改善と空腹時のインスリン濃度との関連性について調査しました。

(※2)プレバイオティクス効果:体に良い働きをする腸内細菌を増やす効果
(※3)Tochio T., et al., PLoS ONE 11(11), e0166850 (2016). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0166850
(※4)肥満傾向のあるヒト:本研究では、20歳以上64歳以下の健康な日本人で、被験者選定時のBMIが23以上の者を対象としています。

<研究成果の概要>
本共同研究では、当社独自のデータ解析プラットフォームを駆使し、ケストースの摂取がヒト腸内環境にもたらす影響について、当社サービス「MGAnalysis™」にて腸内環境および血液成分データの統合解析を実施しました。

本共同研究でわかったことは、大きく分けて以下の2つです。
ケストースの継続的な摂取によりインスリン抵抗性が改善されること
ケストースの継続的な摂取により、Bifidobacterium属細菌が増加し、Streptococcus属細菌やEggerthella属細菌が減少すること

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ケストース摂取が腸内環境を改善し、肥満傾向にある宿主の糖代謝を改善する

インスリン抵抗性は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などいわゆる生活習慣病の原因であることが報告されており、今回の成果によって、ケストースの継続的な摂取が生活習慣病の予防に有効である可能性が示されました。

Bifidobacterium属細菌は酢酸を産生することが知られており、腸内で産生された短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など健康に良い効果がある成分の総称)は、肥満の予防と全身のインスリン感受性の改善につながることが動物実験で報告されています(※5)。また、Streptococcus属細菌やEggerthella属細菌はイミダゾールプロピオン酸の産生を介してインスリンシグナル(※6)を阻害し、耐糖能(※7)を悪化させることが報告されています(※8)。これらの結果から、ケストースの摂取が、腸内環境を改善し、肥満傾向のヒトのインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆されました。

(※5)Kimura I., et al., Nat Commun 4, 1829 (2013). https://doi.org/10.1038/ncomms2852
(※6)インスリンシグナル:インスリンが受容体に結合し、グルコースの取り込み等の情報を細胞内に伝達すること
(※7)耐糖能:血糖値が高くなったときに、それを正常値まで下げる能力
(※8)Koh A., et al., Cell 175, 947 (2018). https://doi.org/10.1016/j.cell.2018.09.055

<今後の展望>
本共同研究により、ケストース摂取がもたらす腸内環境への影響とインスリン抵抗性の改善効果を見出すことができました。今後さらなる研究を行い、ケストースのプレバイオティクス効果をより深く理解することで、インスリン抵抗性を起因とする生活習慣病の予防につながる栄養補助食品の開発への活用が期待されます。今回の共同研究成果を元に、今後さらにケストース摂取による腸内環境を介した有益効果の分子メカニズムの解明に向けた研究開発を進めてまいります。

株式会社メタジェンならびに物産フードサイエンス株式会社は、ケストースのさらなる機能性を追究し、健康社会の実現に向けてこれからも邁進してまいります。


<論文に関する情報について>

【題 名】
Supplementation of 1-Kestose Modulates the Gut Microbiota Composition to Ameliorate Glucose Metabolism in Obesity-Prone Hosts
(1-Kestoseの摂取が腸内細菌叢の構成を変化させ、肥満傾向にある宿主の糖代謝を改善する)

【著者名】
Ayako Watanabe, Takumi Tochio, Yoshihiro Kadota, Motoki Takahashi, Yasuyuki Kitaura , Hirohito Ishikawa, Takanori Yasutake, Masahiro Nakano, Hiroe Shinohara, Toru Kudo, Yuichiro Nishimoto, Yoshinori Mizuguchi, Akihito Endo and Yoshiharu Shimomura

渡辺 彩子、高橋 基毅、北浦 靖之(名古屋大学大学院生命農学研究科)
栃尾 巧(藤田医科大学消化器内科、物産フードサイエンス株式会社)
門田 吉弘(物産フードサイエンス株式会社)
安竹 良礼、石川 大仁(ヘルスケアシステムズ株式会社)
中野 真宏、篠原 裕枝(新小山市民病院予防医学センター)
工藤 徹 、西本 悠一郎、水口 佳紀(株式会社メタジェン)
遠藤 明仁(東京農業大学生物産業学部)
下村 吉治(中部大学応用生物学部)

【掲載誌】
Nutrients

【掲載日】
2021年8月27日

【DOI】
10.3390/nu13092983

【リンク先】
https://doi.org/10.3390/nu13092983


【リリースに関するお問合せ先】
株式会社メタジェン
〒997-0052
山形県鶴岡市覚岸寺字水上246番地2
担当:中畔
E-mail: info@metagen.co.jp
TEL:0235-64-0330